4-3. 注意欠陥・多動性障害(ADHD)
※(1)から(3)はADHDのご説明です。(4)にて当ジムの考え方をご説明致しております。
(1)注意欠如・多動性障害(ADHD)とは
ADHD(注意欠如・多動症)は、「不注意」と「多動・衝動性」を主な特徴とする発達障害の概念のひとつです。ADHDを持つ小児は家庭・学校生活で様々な困難をきたすため、環境や行動への介入や薬物療法が試みられています。
ADHDの治療は、人格形成の途上にある子どものこころの発達を支援する上でとても重要です。
年齢に見合わない多動や衝動性、あるいは不注意、またはその両方の症状が、6~7歳までに現れます。学童期の子どもには3~7%存在し、男性は女性より数倍多いと報告されています。男性の有病率は青年期には低くなりますが、女性の有病率は年齢を重ねても変化しないと報告されています。
ADHDを持つ子どもの脳では、前頭葉や線条体と呼ばれる部位のドーパミンという物質の機能障害が想定され、遺伝的要因も関連していると考えられています。
ADHDの診断については、アメリカ精神医学会(APA)のDSM-5(「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版」)に記述されており、下記などの条件が全て満たされたときにADHDと診断されます。
①「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」
と
「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること
②症状のいくつかが12歳以前より認められること
③家庭、学校、職場、その他の活動中などの2つ以上の状況において障害となっていること
④発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
⑤その症状が、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと
このようにADHDの診断は医師の診察で観察された行動上の特徴に基づいて行われ、それ単独で診断ができるような確立した医学的検査はありません。
しかし一部の神経疾患・身体疾患・虐待・不安定な子育て環境などが子どもにADHDそっくりの症状を引き起こす場合があり、小児科・小児神経科・児童精神科医師による医学的評価は非常に重要です。
(2)症状
7歳までに、多動・衝動性、あるいは不注意、またはその両方の症状が現れ、そのタイプ別の症状の程度によって、
・多動・衝動性優勢型
・不注意優勢型
・混合型
に分類されます。
小学生を例にとると
多動性の症状には、
〇席を離れる
○手足をもじもじする
○おとなしく遊ぶことが難しい
○じっとしていられずいつも活動する
○しゃべりすぎる
衝動性の症状には、
○順番を待つのが難しい
〇大声を出す
〇他の子の会話や遊びに介入(じゃま)をする
〇行動の抑制が困難
などがあります。
不注意の症状には、
○うっかりミスが多い
○集中し続けることができない
○話しかけられていても聞いていないように見える
〇注意力が散漫
○やるべきことを最後までやりとげない
○課題や作業の段取りが下手
○整理整頓が苦手
〇宿題のように集中力が必要なことを避ける
〇忘れ物や紛失が多い
などがあります。
多動症状は、一般的には成長とともに軽くなる場合が多いですが、不注意や衝動性の症状は半数が青年期まで、さらにその半数は成人期まで続くと報告されています。また、思春期以降になってうつ症状や不安症状を合併する人もいます。
(3)医学的な治療
ADHDを持つ子どもは意識的に症状を予防あるいは軽減しようと試みても困難であり、本人の意図とは別にどうしてもじっとしていられず、学校で必要な持ち物を忘れたり失くしたりしてしまいます。
このような失敗行動は、えてして周囲の人たち(たとえば両親や教師)に厳しく叱責されるため、「どんなにがんばってもうまくいかない自分」という否定的な自己イメージを持ちやすく、家庭や学校においてつらい思いをしていることが見受けられます。
さらにADHDを持つ子どもは学業不振や対人関係で悩むだけでなく、気分が落ち込んだり、不安感をコントロールできなくなったりなど、こころの症状を合併することもあります。
このため子どもがなんらかの困った行動を呈しており、その背景にADHDの特性があると診断される場合には医学的治療が必要です。
ADHDを持つ子どもの治療は
① 環境への介入
② 行動への介入
③ 薬物療法
などを組み合わせて行うと効果が高いといわれています。
① 環境への介入
子どもを取り巻く環境を暮らしやすいものにするための介入としては、教室での机の位置や掲示物などを工夫して本人が少しでも集中しやすくなる方法を考える物理的な介入法や、勉強や作業を10分-15分など集中できそうな最小単位の時間に区切って行わせる時間的介入法などが有効です。
② 行動への介入
行動への介入では、子どもの行動のうち、好ましい行動に報酬を与え、減らしたい行動に対しては過剰な叱責をやめて報酬を与えないことで、好ましい行動を増やそうという試みを行います。
問題行動を抑制できたことやその頻度が減ることなどにも注目してしっかりと即座に褒めてあげることが重要です。
報酬を得点化して一定数になったら何らかの特別なご褒美・行事への参加(映画に行く・博物館に行くなど)につなげるようにします。
この行動変容に関して、主として子どもに関わる保護者が学ぶトレーニングが「ペアレントトレーニング」として知られています。
また各地で実際に当事者の保護者が活動するペアレントメンターという制度も整ってきています。
③ 薬物療法
コンサータ、ストラテラ、インチュニブなどの薬がADHDの不注意・多動-衝動性を軽減する可能性があるとして保険適用されていますが、これは医療機関でのみ処方です。
多動や注意欠陥の症状をただ押さえ込む、という考え方の治療方針は良い結果を生まないことが多いのです。
親の立場から見える子どもの問題と、子ども本人が感じている困難さは同じではないと思うようにしてください。治療をしているつもりが子供を追い込んでしまっている、ということもあります。
家族と専門家・教師の連携は言うまでもなく重要ですが、親子の信頼関係を育て、双方の「言い分」をやり取りできる雰囲気があると、ADHDを持つ子どもはこの障害を乗り越えるのに必要な力を得ることができるでしょう。
※上記(1)~(3)は厚生労働省HPを元にわかりやすい言葉に置き換えて、作成いたしました。
(4)ビジョントレーニングの進め方
①ビジョントレーニングとADHDの考え方
この症状で悩まれている方は、お子さんだけではなく大人でも多いと思います。当ジムでお問合せがあるお悩みでも、お問い合わせの多いお悩みでもあります。
最近は、すぐに支援級を勧められたり、お薬を飲むように勧められるお子さんが増えましたが、果たしてそれが適切なのかと思うところもあります。
まずは診断をされ、診断の結果、前述の治療法
① 環境への介入 ② 行動への介入 ③ 薬物療法
を中心に対策が検討されるわけですが、実際には、正しいのか、もっといい方法はないのだろうかと疑問に思われる方が相当、おられるようです。
そのような疑問をお持ちの方が当ジムに通われて、改善や回復をされておられる事例はたくさんございます。
ADHDの改善、回復は時間がかかったり、改善していたとしても変化の量が少しでわかりにくかったりします。
しかし、ビジョントレーニングを実施して頂きますと、一時的な回復ではなく、自己愛が回復し、健全性が回復し、いろんなことにチャレンジしていける主体性を身について、大きな変化もしくは成長を遂げられて、卒業されるのです。
そらいろ ビジョン・メンタル トレーニングジムでは、診断名は参考程度に承らせて頂いております。
なぜならば、ADHDと診断されていても、アスペルガー症候群の要素が強かったり、
いじめが原因で心理的にADHDと同じ症状を引き起こしている場合もあるからです。
また、虐待、ネグレクトの経験があるお子さんの場合は『見捨てられ不安』が強く愛着障害からの歪んだ言動も考えられます。
自分がどこまでなら許されるのかという『試し行動』の場合もあります。
ですので診断名は一つの要素として承り、あくまでも一人一人の生育環境や個性を確認しながら判断させていただいております。
場合によっては親御さんの心のケアが必要な場合もございます。
そらいろ ビジョン・メンタル トレーニングジムでは心理カウンセラーの資格をもったトレーナーが対応しますので、ビジョントレーニングのこと以外はご相談に応じることができないということはありません。
広く心理に関わるご相談をご安心なさってください。
②ビジョントレーニングの取り入れ方。
それでは実際にビジョントレーニングの導入についてご説明します。
まず、何が生きづらさや諸問題の原因なのかを絞り込むことが大切です。
○落ち着きがない
○約束を忘れる
○片付けられない
○ケアレスミスが多い
上記のような問題がある場合、まず、目の使い方に問題があり、周辺視野と空間認知とメモリー機能の未発達に原因があると、考えられます。
例として、トランポリンを跳びながら、ボール投げをして、同時に、しりとりやイメージトレーニングをするトレーニングをおすすめします。
一度に2つの動作が同時進行できる脳と身体をつくることが最初にすることだと思います。
それができると『先生の話を聴きながら、黒板を見ながら、ノートに書く』という一連の流れがスムーズになっていくからです。
あとは、メモリー機能を鍛えるのは『会話』です、メモリー機能が改善するような楽しい会話を心がけていきます。
このようにお子さんの個性を考慮に入れてトレーニングを組んでまいります。
○間違えるのを極端に嫌がる
○かんしゃくを起こし易い。
○物を壊したり、人を傷つける
上記のような方の場合を考察してみましょう。
心理的には『自分は正しく、完璧だ、だから自分ができないのは周りのせい』という幼児万能感が抜けていません。
ですから、間違えると自分が許せなくなり、隠したり、八つ当たりをすることで、自分の失敗のストレスを瞬時に解消しようとしていると考えている可能性があるようです。
ですので、そこをうまく拾って『失敗によって恥をかくことがないように、前もって低いハードルを設定し、できたらほめる。』などの対応を考えます。
それから、脳内のドーパミンが普通のお子さんよりも多く出てしまうので、こちらが不要な刺激を与えないような工夫をするようにします。
そして、何よりもエネルギーが有り余っているので
『5分刻みで、違うことをしてもらい、よく動いてもらう』
そして、逆立ちや何かにぶら下がることで
『止まること』
を経験し、学んでいただくことが必要です。
そらいろのビジョントレーニングでは
『静と動』
の切り替えが心身共にできるように育てて参ります。
以上、ご説明をさせて頂きました。ビジョントレーニングという言葉は一般的に広く知られるようになってきましたが、効果が出るためには、一人一人のお子さんにどれだけオーダーメイドで合わせていくことができるかが大切です。
集団でビジョントレーニングをすることの難しさは体験した人なら誰しも感じることであると思います。そらいろ ビジョン・メンタル トレーニングジムではパーソナルもしくは少人数のグループにてのトレーニングで深い個別対応を目指しております。
ぜひ、一度、お子さんのことをご相談なさって見てください。
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