2-5 視力(サイト)と視覚機能(ビジョン)の違い

2020年12月27日

●視力と視覚機能(ビジョン)の違い

ビジョントレーニングと聞くと、視力を高めるためのトレーニングと思う人が多いのですが実は違います。

ここでは視力と視覚の違いについてご説明をします。

まず、視力についてご説明をします。

視力(しりょく)とは、目で物体を識別できる能力のことである。

ウィキペディア(Wikipedia)

つまり、小さなものまで見分ける能力ということになります。

子どもの視力が1.2あるいは1.5であれば『良かった ちゃんと見えている!』

と安心される方もいらっしゃると思います。

しかし視力が良いだけでは、本当の意味で見えているとは限りません。なぜなら視力は人間の見る力のほんの一部の機能でしかないからです。

そこで、

次に視覚機能・ビジョンについてご説明します。

視覚機能というのは

  目で見て脳で判断して、体を動かす、一連の動きをつかさどる機能

のことです。見分けるだけでなく、判断して行動に移すところまでかかわるのが特徴です。発達障害もしくその可能性を心配されるお子さんが増えているのは、この、視覚機能の発達の状態に関わっている可能性が高いと言えます。

ビジョントレーニングはその『視覚機能』を高めるために行います。学校や保護者のみなさんが気にするのは視力であることが多いのですが、視覚機能を砕けた表現にすると『見る力』とも表現できます。

具体的にはどのようなものでしょうか。それを体験して頂きましょう。

まずは、下の写真を見てください。この写真は一体何に見えるでしょうか。

衛星写真? 地図? ねずみ? 山? 足あと? 自転車のかご?

いえいえ、違います。

これは牛の写真です。正面やや右を向いた牛の写真です。

答えが分かったところで、もう一度上の写真を見てください。

どうでしょうか。今度はちゃんと牛に見えましたでしょうか。

これが視力と視覚機能『見る力』の違いです。

大切なのは見て認識して、考えて行動できる力。それが視覚機能『見る力』です。

視力は静止した細かな像をどれだけはっきり見えるかで判定します。上の写真で言えば 白黒の模様が、はっきりと見えていれば視力がいいということになります。

しかし私たちは日常生活の中で、静止したものを眺めているだけではありません。

動いているものを見ることもあります。

そしてそれが何か、次にどんな行動が必要か…といろいろなことを脳で判断しながら見ているのです。

目でみた情報を正確に集め、それを脳で理解し体で反応していくこのような総合な力を『見る力』=視覚機能といいます。

視力も大切ですが、勉強や日常生活、特にスポーツでは、脳や体と連携して正確に物事を見極める視覚機能『見る力』が重要になります。

視力は細部まで見る力であり、視覚機能はその見えたものが何であるかを理解し、次の行動も判断し、体の制御までをしっかりとこなせる能力ということになります。

この視覚機能が健全に発達しませんと、発達障害でなくても、それに近い症状がお子さんに生じますので、保護者の方も心配されると思います。思い当たるところがあるというお方は、まずは

 目のチェック

という簡易診断を実施してみることをお勧めします。お子さんの視覚機能の現状が分かると、不思議な行動の理由も理解できるかと存じます。

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